2011年4月24日日曜日

福島の学校に行き渡らない? 放射線のポケット線量計、品薄状態 文科省危惧

東京電力福島第1原発の事故で、空気中の放射線量を計測するポケット線量計の需要が高まり、メーカーでは品薄状態が続いている。事故の影響で、放射線にかかわる業界や公的機関だけでなく、一般の購入希望者が増えたためだ。文部科学省は、事故で大きな影響を受けている福島県内の学校に配ることを計画しているが、メーカーの増産が追いつかない可能性もあり、鈴木寛副大臣は「福島のために優先的に使いたい。むやみに買い求めないでほしい」と呼びかけている。
ポケット線量計は1個3万円程度で、放射性物質(放射能)から放出される放射線量がデジタルで数値化されて表示される。事故以前の購入者は、放射性物質を扱う施設や医療現場がほとんどだったが、今回の原発事故で、自治体や民間企業が放射線量検査を行うようになったうえ、日常生活で線量を心配し、購入を求める希望者も大幅に増えた。
国内メーカーの富士電機(東京)では事故以降の問い合わせが400件を超え、販売数も通常の4~5倍の1000台以上に上っている。日立アロカメディカル(東京)でも、広報担当者は「問い合わせ件数は集計できないくらい」とし、「増産を急いでいるが、在庫はほとんどない状況」と明かす。
これを危惧するのが文科省。福島県内の小中学校などに1700個を配布する予定で、平成23年度補正予算案に6000万円を計上しているからだ。予算案が通過しても、線量計がない事態も予想される。
福島県では23日現在、屋外の放射線量が毎時3・8マイクロシーベルトを超えた小中学校と幼稚園、保育園の計9施設が、文科省の通知で体育など屋外活動を制限している。放射線量の増減は、屋外で活動できる時間に直接関係するため、値を監視できるポケット線量計は必要不可欠となる。
文科省では「品薄状態は把握している。子供たちの安全管理のため、できるだけ早い時期に多くの学校に行き渡るようにしたい」と話している。

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