2011年6月3日金曜日

科学者の日記110601 本当はテレビは危険を知らせるのだが


「テレビを普及すると乳幼児死亡率が減る」という統計があります。


「テレビが普及する」というのは、国民の所得も増え、社会も近代化されているので、正確に言うと「テレビが普及するような発展した社会」では「子供が安全になる傾向がある」といった方が正確でしょう.


もう一つは、台風が来たり、食中毒情報などをいち早くテレビが知らせてくれるので、家庭やお母さんはテレビを見て危険を知り、子供を守ることができるとも言われています。


ところが今回の福島原発事故では、NHKは、


1)   原発が爆発した映像を積極的には報道しなかった(爆発の映像はネットでしか見られなかった)、


2)   大量に放射性物質が漏れている時に逃げなければならないことを言わなかった(NHKの記者は3月12日に福島から逃げた)、


3)   「直ちに健康に影響が無い」という間違った政府の発表をそのまま放送した、


4)   日本の法律で1年1ミリシーベルトと決まっている被曝限度を一切、放送しなかった、


5)   放射性物質が含まれている野菜を拒否すると「風評被害」と言って非難した、


6)   「被曝は足し算」であることを知っていて、「暫定基準以下」のものを「安全」と報道した、


など、「NHKを見ると寿命が縮む」ということに終始しました。


特に、政府はNHKの言う「風評被害」は本当に悪質です.


「風評被害」というのは、ありもしないのに噂を立てて被害を及ぼすことを指す日本語です。


1年1ミリシーベルトを越える被曝を受けている子供に、さらに「暫定基準以下だから、健康に影響がない」という無茶な理屈をこねて、「風評」という言葉を使いました。


この言葉は本当に質が悪く、「正直で、決して風評などに左右されない善良な国民」を「風評を煽る人たち」と非難したことです.悪質で子供の健康を脅かす使い方です.


日本は法治国家であり、誠実な国民だからこそ、安全な生活を送れるのです。それを、「1年1ミリシーベルトの限度」という法律を守り、「被曝は少ない方が良い」という人を非難するという前代希な放送を続けたのです.


一人でも被害者がでなければ良いのですが、もし可哀想な子供がでたら一体、NHKはどうするのでしょうか?


・・・・・・・・・


【最近の悩みについて


1.   プール
プールのシーズンになってきましたが、プールはこれまでの水を流し、大人が綺麗にして線量を測り、周辺の雑草を排除したら、児童が泳いでも問題はないと考えられます。
児童の皮膚から入ったり、飲んだ自らの被曝は無視するほどと思います。
ただ、時々、線量を測っておく必要があります。


2.   少し離れたところの野菜や食材
福島近辺は全体として危険なのですが、それから少し離れたところでも、食材は注意が必要です.
「安心できる食材」:スーパー等が食材毎に何ベクレルと表示してあるもので、おおよそ10ベクレル以下の食材。10ベクレル以上の食材を「健康に影響がない」とは誰も言えません。
「危険な食材」:ベクレル表示のない食材.特に「安全宣言」、「安全です」と書いてある食材はもっとも危険。放射性物質が含まれていて暫定基準値以下のものを「安全」といっているから、「安全」というのは「危険」なこと。消費者を騙して放射性物質入りの食材を買わせる手段です。
魚:残念ながら測定値が無いので、北海道、四国、九州、日本海、外国産だけが安全になってきました。東北から紀伊半島まで危険です.特にワカメ、コンブには大量の放射性ヨウ素が見つかっています(外国の測定ですが)。


3.   少し離れたところの生活
乳児、幼児を含み、次のことに注意すれば安全です。
1) ミニホットスポットを避ける(ヤブ、排水溝、芝生、植え込み、雨樋の下、吹きだまり。
(注)放射性元素をホットアトムというので、「放射性元素が多い場所」という意味で「ホットスポット」と言っています.
2) 食材を徹底的に選ぶ(上記参考)。
3) 水は大丈夫(どうしても不安なら飲み水だけペットボトル)。
4) 時々、日本海側などに遊びに行き、新鮮な食材と放射線の低いところで子供を休ませる。
5) 風の強い日はマスクをする(地上にある放射性物質の粉が舞い上がるから。これはこれからの台風シーズンで大切です。)


子供に注意したら、大人はその結果として安全になります。地域で子供がおられない方、お年寄りも、次世代の日本のために、子供達が被曝しないように地域の環境(公園の雑草取り、道路の溝の掃除など)を積極的にしていただければと希望します。


お子さんのために除染したいと思っても、お母さん地震が病気がちの人もいて、放射線をあびることは危険な場合もあります。


多くの人が除染にご協力していただきたいと思います.


(平成2361日 午前10時 執筆)



武田邦彦

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